両雄の明暗

アメリカンフットボール京都ボウル 京都大学ギャングスターズ立命館大学パンサーズ西京極競技場
 晴れ渡った空、初夏の陽射しの中で自転車を走らせ、西京極競技場についたころにはシャツも汗ばんでいた。今日は京大アメフト部ギャングスターズの今シーズン最初の試合である。試合といってもリーグ戦ではなくオープン戦で、新入生歓迎試合という位置付けである。しかしこの試合、どちらにも勝ちたい理由がある。昨年秋のリーグ戦で前評判は高かったものの、京大に接戦の末敗れて3位にとどまった立命館は雪辱を果たさなければならない。京大にしても96年以来の優勝を果たすためには、関学とこの立命館はどうしても越えなければならない壁である。

 オープン戦とはいえ、シーズン初戦ということやカードの注目度などの影響か、観客の数は少なくない。僕もアメフト観戦は初めてというみんこう氏と一緒である。京大の応援席は西京極競技場のメインスタンド側である。そこのほぼ中央の席に座ると、グラウンド全体が見わたせる。陸上競技場と兼ねてるスタジアムは客席が遠いという話を聞くが、これぐらい見えれば落ち着いて観戦するには十分であろう。

 京大のキックで試合開始。序盤は一進一退である。第1Q(クウォーター;1Q=12分)に、京大が攻める。残り1ヤードからのギャンブルも中央突破でファーストダウンを奪った。結局フィールドゴールを決め、3点を先制する。

 しかし京大の見せ場もここまでだった。以降はひたすら立命ペース。第2Qにフィールドゴールで同点にすると、後はひたすら長短のパス、およびスクランブル(パスと見せかけてQBがランすること)を巧みに使い、2タッチダウンを奪ってハーフタイム時には3−17とリードを広げる。

 後半も変わらず立命が攻めつづける。パスプレイにしてもランプレイにしても、京大がタックルに行ってももう一歩先に進むといったような、スピードを見せつけるプレイで圧倒。いとも簡単にQBがフリーになり、パスもスクランブルも思うがままである。一方の京大側はパスは通らない、攻めてはファンブルして相手に抑えられると、全くいいところがなかった。結局後半も立命館が点を重ね、41−3で圧勝。立命としては景気付けにいい1勝、京大としては秋までにやることが山積みであることを実感させられる試合であった。

 正直言って弱いギャングスターズの試合は見たくない。その見た目や強引な勧誘活動で他の学生から一歩ひかれてしまっているギャングがそれでも一目置かれているのは、やはりその強さからだったはずである。今のままでは立命にも関学にも勝てないだろう。「京大で唯一日本一が目指せる部」という試合前のアナウンスがむなしくなってしまうような部ならしょうがない。秋に見違えるようなプレイを見せてくれることを期待している。