ナゴヤスペシャル

プロ野球 オリックスブルーウェーブ西武ライオンズナゴヤドーム
 今年に入ってBW戦を何試合も見てきたが、GS以外で見る試合は実はこれが始めてである。前から一度行ってみたかったナゴヤドームでBW戦が行われるということで、偶然同じようにナゴヤ遠征を計画していた西武ファンののりを氏と意気投合し、同じく西武ファンのD-PON氏と3人で名古屋入りした。

 今回は内野席での観戦。というのも、この試合に際してナゴヤドームのサイトで行われていたペアチケットプレゼントに応募したところ、なんと自分とのりを氏の二人ともが当選してしまったのである。10組20名のはずなのに…よほど応募数が少なかったのだろう。

 名古屋駅からさらに乗り換えJR大曽根駅へ。事前情報によるとここから少々歩くようだ。天むすを温めたりしながら球場への道を歩く。ううむ、試合前なのだからもう少し野球場に向かっているような人が多くてもよさそうなもんだが…まあ最寄の駅は地下鉄なのでそちらに多いのかもしれない。

 球場について、座席を探す。3塁側内野席の外野席に近いところ、1階席の中段である。ここで、また事前情報でつかんでいたあるものを探しに売店へ行く。あるものとは?…「ナゴヤスペシャル」とよばれるミソカツクレープである。ナゴヤドームは飲食物持込不可のせいか、やたらと売店が充実しているのだが、その中でも異色の製品だろう。この店、他のメニューは普通のクレープなので(あと、「ドームスペシャル」というエビフライクレープもあるが)ちょっと注文するのに緊張した。見た目のインパクトのわりに、味はまあまあ普通である。クレープにする必要性は案の定感じられなかったけど(ちなみにこの店は普通の売店と違い、一塁側4階の「大幸横丁」というレストラン街にある)。

 さて、ナゴヤドームの印象であるが、なんせ久しぶりの人工芝球場ということで、人工芝の緑が目にまぶしい(野球に限っていえばサイト開設前の一昨年7/20の大阪ドーム、そうでなくても昨年11月、アメフトを見た西宮以来だろう)。思ったよりもグラウンドが近く見えるが、別に小さいというわけでもない。スタンドの上段席も、大阪ドームの下段の真上まで出っ張ってないので、窮屈な感じはしない。スコアボードも大きめである。

 試合が始まってBWの先発は戎。立ち上がりからヒット、送りバント、フォアボールでバッターは4番・カブレラというピンチを招く。しかし、ここで二塁ランナー“シバタオー”こと柴田がするするとスタートしてしまい牽制アウト。結局カブレラはフォアボールで鈴木健を打ち取り無失点。

 対するライオンズの先発は西崎。西崎といえば、今季はGS神戸での初戦でわずか10球でケガで降板して以来の一軍マウンドである。そんなに球が走っているわけでもなく、初回も2アウト3塁のピンチを迎えるが、4番ビティエロを三振でピンチを切り抜ける。

 どちらもイマイチの立ち上がり、打撃戦かと思われたがランナーが出ても点が入らない展開である。3回のカブレラの打席、根元から折れたバットがショート塩崎のところまで飛んでいった(打球はセカンドゴロ)。

 さて、応援の方だが、明らかに西武ファンの方が多い。おそらくGSでやる時(もしくはそれ以上?)の応援団がきていた。一方BWの方は…なんと静かな(笑)。実はこの日応援団も来てなく、序盤は裏の攻撃のみ『球音を楽しむ日』状態になっていた(ただ、BWの応援団はもともと応援を仕切る人が数人いるだけで、他のように集団で固まって応援するといった傾向ではない)。BWの主催ゲームで関西からこれない距離でもないのにやや寂しい気もした。

 試合が動いたのは5回。西武が松井のタイムリーツーベースとマクレーンの2点タイムリーで3点を先制する。一方、投げる方の西崎は回を追うごとに球速も増し、球が伸びてきたのか4、5回と三者凡退。BW打線の不甲斐なさに、6回は一人ライトスタンドに行き、ほんの少人数で応援している一角で一緒に応援しようと決めた。

 ライトスタンドについて席につくと、突然一人の男性が立ち上がり、「今日は応援団も来てないようなので、私が勝手に仕切らせていただきます」と宣言。あたり一体は沸き上がり、即席応援集団が出来上がった。6回の攻撃は1番の塩崎から。塩崎はこの日2本目となるセンター前ヒット、大島がフォアボールを選んだところで西崎は降板。そして3番谷は2番手青木勇の球をレフトに打ち返しノーアウト満塁。点差は3点で打順は4番のビティエロから。願ってもないチャンスに即席応援団は大盛り上がり。そして…

「ゴーゴーレッツゴー、ビティエロー!」カツン。
「ホームランホームラン、ジョージ!」ポコン。
「カットバセー、イクロー!」スコン。

 …無得点。チャンスになってまわりの人も乗ってきて、大きくなってきていた応援団、およびライトスタンド一帯がため息に包まれて声も出ない。

 その後内野に戻り、同行の二人と一緒に前の方の空席に下りてみる。指定席なのにまったくチェックが行われていないからいいかげんなものだ。3塁側カメラマン席上あたりに座ると、これまでそうそう経験のないような近さに迫力を感じる。

 しかし試合展開はBW打線は沈黙状態で、いささか退屈。せっかくだからともう一度ライトスタンドに行ったり、外野5階席最上段に行ってみたり(大阪ドームと違い、ここからでも外野手の守備位置が見えました)、結局9回はネット真裏の席にもぐりこみました(このあたりの席を定価で買って入場した人、ごめんなさい)。ネット裏って近いですね〜、あれなら選手にむかってしゃべったら全部聞こえるでしょう。まあここには入れたのも9回でチェックがいなくなってた、帰ってるお客さんがいたからであろう。おそらく普段の中日戦ではチェックがきつくて入り込めない、というかシーズン指定席で入り込む隙間もないんだろうが。

 移動の際にあたりを見ると、なぜかオレンジと黒のメガホンや旗を振っている人がいたり、もちろん「D」の帽子をかぶった子供は当然のこと、背番号入り岩瀬Tシャツを来た人など、さすが「地方開催」だなあ、と感じさせられた。

 結局試合はそのまま3-0で西武が勝ち、ヒーローは今季初勝利の西崎。引退を覚悟して投げたというベテランの好投が報われた試合となった。帰りは地下鉄で名古屋まで戻ってきしめんを食べて帰ったのだが、球場から地下鉄の駅までの距離が結構ある。同行の2人はアクセスがいまいちと言ってたけど、なんせ普段片道2時間のGS神戸に慣れてしまっているせいかそこまで悪く感じなかったのは病気か。