Vの興奮

前々から興味はあったVリーグ。みんこう氏を巻き込み、春の大阪へと向かう。会場の大阪市中央体育館は、オリンピック招致のために建てた体育館らしく、入り口のスロープも大きくきれいで、中の椅子もしっかりしている。腰痛を抱えていた僕にとってはありがたい会場であった。中へ入るとまわり一面黄色だらけ。どうやら東レの応援席のようだ。反対側は空いているので二人そちらへ移動する。

第1試合 東レ・アローズ(R1位)−久光製薬・スプリングアタッカーズ(R3位)
 ここで、Vリーグのファイナルラウンドについての説明を。9チーム総あたり2試合ずつのリーグ戦でレギュラーラウンドの順位を決定し、上位4チームがファイナルラウンドへ進出する。ファイナルラウンドは3日間、1日目が1位−4位、2位−3位の試合、2日目は1位−3位、2位−4位の試合が行われる。2日間の結果の上位2チームが最終日の決勝戦、残りのチームが3位決定戦に進む。ちょっと珍しい方式である。偉そうに言っているが僕も当日までよく理解できていなかった。

 この前日の試合では、R(レギュラー)1位の東レ・アローズがR4位のNEC・レッドロケッツにストレート負け。R2位のパイオニア・レッドウィングスもR3位の久光製薬・スプリングアタッカーズに1−3で負けるという荒れ気味の展開。セット数を考えても東レはどうしてもストレート勝ちしたい試合である。

 会場内では試合前の練習中。スタンド前部は選手やチームを応援する横断幕で埋められている。そんなにバレーは知らない僕にも知っている名前、東レのアタッカー・熊前知加子。その熊前を中心に東レ久光製薬を圧倒、第1セットは25-14、第2セットは25-20ととる。ストレート勝ちに王手をかけた東レ、そのままの勢いで第3セットもセットポイントまで進む。しかしここから久光製薬が粘った。同点に追いついてデュースに持ち込むと、ついに逆転して25-27。セットカウント2−1となる。

 手に入りかけた勝ちを逃したことで緊張感が解けてしまったのか、第4セットは久光製薬ペース。東レのミスも助けて25-23で久光製薬がセットを取る。これで東レの決勝進出可能性がなくなってしまった。一方決勝進出が決定した久光製薬。それぞれの思惑が絡んだのか、15点先取の第5セットもデュースにもつれる。ここで久光製薬はサーブミスを連発するも、その後をなんとかしのいで18-18と粘り、逆転で20-18、このセットを取る。東レはあと一歩で手に入りそうだった勝利を逃してしまい3位決定戦へ。レギュラーラウンドで14勝2敗と強さを誇った東レがまさかの連敗であった。

第2試合 NEC・レッドロケッツ(R3位)−パイオニア・レッドウィングス(R2位)
 "レッド"同士の対決。パイオニアスタンドのレッドは赤というより赤紫っぽい感じが…(あれはピンクらしいけど)。スタンドが一色に染まるパイオニア側に対して、NEC側はそうでもない。前の試合でも東レのイエローがスタンドの半分以上を染めていた。いかにも企業チームといった感じの応援で、個人的には実はそういうのも嫌いではない。

 横断幕が貼りかえられる…というか、前にあった横断幕の上から容赦なくかぶせていく。前の試合のチームの横断幕もそのままほったらかしである。第1試合のときに名前が出てるのに出てこない選手がいたのはこのためか。

 第1セット終了後と第2セット終了後には、それぞれのチームのチアリーダーによるパフォーマンスがコートで行われる。アメフトのハーフタイムみたいなものだ。いろんなスポーツでチアを観たけど、だいたい足の太さを見ればリフトをやるかどうかが分かる。チアは結構激しい運動で、中でもリフトをやるとなるとかなりの力が必要となるので、それなりにしっかりした体つきになってくるのである。

 さて、試合のほうだが、パイオニアは決勝進出にはこの試合、3−1以上で勝つ必要がある。その中で目立つのはスコット・ダニエル。長身で迫力がある。なんでもブロック決定数最高の選手だそうだ。NEC側にはテレビで見たことがある大友愛、そして193cmで練習時から目立っていたのが河村めぐみ。試合では時々しか出てこなかったけど。

 杉山や大友に集めるNECに対して、右に左にいろんなところからガンガン打ってくるパイオニア。結局パイオニアが勝ったものの、フルセットにもつれこんだため決勝進出したのはNECだった。

 2試合ともにフルセットということで予想以上に長時間観戦となった初のバレー観戦。しかしその時間の長さに反して、試合自体は充実した面白いものであった。声もボールの音も聞こえる臨場感も楽しさの一因である。

 なお、翌日の決勝では久光製薬がNECを下して優勝。東レはパイオニアに敗れて4位に終わった。