緊迫【関東ツアー編 その5】

プロ野球 西武ライオンズオリックスブルーウェーブ西武ドーム
 関東ツアーもいよいよ最終戦西武ドーム。最後の最後にBW戦がやってきた。疲れている体にも気合が入る。今日の予告先発は西武・石井貴(やっと西崎以外の先発が見れる)、そしてBWは今季抑えとして期待されながら結果を残せず、ここに来て初先発の具臺晟である。一度は先発で見たいと何度も言っていたのだが、まさか初先発を生で見ることができるとは。不安と期待が入り混じる試合である。

 池袋駅で荷物を預け、西武鉄道に乗っていざドームへ。遠い遠いと言われてはいるが、遠い球場には慣れました。しかし地図を見ると離れに離れた狭山湖のほとり。ほんとに山の中っぽいなあ。

 電車が駅に着く。空気がうまい、ような錯覚を覚える風景。球場前には道をはさんでコンビニがあり、そこで飲み物を調達するのだが、その辺りまでダフ屋がいる。そんなに席が足りないとは思えないのだが?グッズショップも並んでいるが、ビジターチームのものは5球団まとめてであり、その日のカードによって入れ替えるということはないらしい。

 外野自由席の入場料が1600円と結構高い。もっとも、BWのファンクラブカードでビジター割引がきき、1200円で入ることができる。チケットを買った後そこらに看板が出ているのがちょっと目に入る。「本日は学生デー、学生証を見せれば500円引き」…なんだ、100円損してるじゃん。まあ、初めてビジター割引を使ったという達成感でよしとしよう。

 入場はセンターの裏からで、ライト側とレフト側は完全に分断され行き来が出来ないよいうになっている。入るのはもちろんレフト側。ゲートを通ると、例の「マンデー・パリーグ・ポスター」がワゴンに放置してあり、「ご自由にお取りください。お一人様一枚限り」となっている。なんかいいかげんな扱いだなあ…。まだ持ってなかったので一本もらうが、このポスターは子供達によって応援で振り回されたり素振りに使われたりと散々な使われ方をしていた。結構余ってたしな。

 センター裏からレフト側に入ると、そのまま通路がスロープになっていて三塁側をネット裏のほうまで続いている(外野と内野の間にはチケットのチェックがある)のだが、この坂が結構きつい。転んだら転がっちゃうのではないかというぐらいの傾斜である。いい席に座る人ほどきつい思いをしなければならないということか。なんかおかしな球場だ。

 さて、西武球場の外野席といえば、名物の芝生席である。とはいえ、ドームになったので席も人工芝になってしまったのだが。ここの傾斜がまたきつい。横になってみるには傾斜があったほうが見やすいだろうが、移動は結構デンジャラスである。打撃練習のボールを追う子供が転びやしないかとヒヤヒヤする(ちなみにこのボールはもらえない)。

 というわけで(?)芝生席より上の部分に申し訳程度にあるベンチに腰掛ける。場内ではNACK5というFM局が、球場内でリクエストとメッセージを受けながら音楽を流しているのだが、あれは球場だけの放送なのだろうか?そのまま外で流れているということはあるのだろうか。音楽の合間には球場内向けのアナウンスも入る。「本日は学割デーということで、学生の方には外野自由席に500円でご招待…」え?500円引きじゃなくて500円ポッキリ?(死語?)じゃあ学生なのに倍以上の料金を払ってしまった俺の立場は?…試合前からなんだか負けた気分。

 それにしても、500円なのにレフトスタンドは寂しい。ライトスタンドはほぼ満員だが、レフト側は大の字になって寝ても文句をいわれないぐらいの空きようだ。ライトとレフトがつながっていないということも関係あろうが、夏休みに割引してこれはちょっと少ないだろう。外野がこうなのだからいわんや内野をや、である。

 さて、ようやく試合開始。試合は予想に反して投手戦になる。石井は絶好調で、アリアスのヒット1本以外、安打を一切許さない。そして初先発の具も、フォアボールを時たまだすものの、連打を決して許すことなく3安打無失点で5回を投げきる。

 均衡した試合になると、一振りが試合を決めてしまう可能性が高い。もちろん注目するのは西武・カブレラだ。実は僕はカブレラが好きである。ネクストバッターズサークルにいる間、ひたすらバットを大きくグルグルまわしているのを見るのが大好きなのである。この日もグルグルは相変わらずで今年で見納めとなるはずの3番・松井稼頭央の打席もそっちのけでネクストを見ていた。6回の裏も、そのカブレラの打席を見て(三振だった。この日、カブレラはバッターボックスでもグルグルを続け4打数4三振であった)、トイレに行こうと通路に出た。センター裏のトイレに行きかけた瞬間、球場内から歓声が沸く。何事?と思った瞬間、通路にボールが飛び込んで転々とした。カブレラの次の打者のマクレーンがホームランを打ったのである。一瞬何が起こったのか分からなかった。

 結局具臺晟はこの後、西武打線をノーヒットに抑えるも、西武は石井−豊田のリレーで2安打完封、マクレーンの1球に泣くことになった。長い試合を予想していたものの、終わってみれば試合時間は2時間34分の省エネ試合。試合の緊張感の余韻を味わいながら、帰路につくのであった。