王者と挑戦者

フラッシュボウル-関西学生アメフトリーグ- 京都大学ギャングスターズ−関西学院大学ファイターズ(西宮スタジアム
 京都大学で強いスポーツはと人に聞けば、アメフトとほとんどの人が答えるであろうことは、ちょっと悔しいが揺るぎの無い事実である。それもこれも、日本一になったという実績のなせる業だが、ここ数年、王者関西学院大、そして立命館大に押されていることは否めない。

 しかし、それとは別に関学と京大は因縁の対決にあるそうだ。元々、関西の大学アメフトは関学の一人舞台だった。その連勝を145(!)で止めたのが、1976年の京大。以来京大が力をつけ、打倒関学を目指して戦うこととなった。立命が力をつけてきたのは90年代に入ってから、3強時代に突入した。

 そんなわけで、勝敗を越えた盛り上がりを見せる関京戦京関戦)。この試合に勝てば立命を含めた3チーム優勝でプレーオフに持ち込める京大側はもちろん、既に優勝を決めて、下馬評も高い関学にとっても意地の一戦なのである。

 …僕が西宮に着いたのは試合開始5分ほど経ってから。相変わらず用意が遅い。とにかく着くまでは0−0のスコアのままでいてくれと願いながらスタジアムへ急ぐ。というのも、昨年の関京戦(思えばそれ以来の西宮スタジアムだ)、京大のキックではじまった試合、関学がリターンでそのままタッチダウンを奪い、開始1分も経たないうちに関学が7点を先制したのだった(観戦記その9参照)。相変わらずなぜかおばちゃんばっかりのダフ屋をかいくぐりスタジアムについたのは第1Qを2分ほど経過した頃。まだ0−0である。滑り込みセーフ。

 ちょうど京大がパントを蹴った瞬間だった。そこから関学の攻撃。ひたすら中央を突破してくる関学。驚異的な強さを誇る関学オフェンス陣が京大を圧倒し先制タッチダウンを奪う。第2Qにそのオフェンスが爆発、京大のパスのインターセプトなどもあり、3タッチダウン、20点を追加し、前半が終わり0-27。このままでは昨年の再現である。

 後に甲南大戦を残していた昨年と違い、今年はリーグ最終戦、四回生にとっては最後の試合である。それは、選手だけでなくスタンドの応援団、グラウンドのチアの四回生にとっても同じだ。後ろにいるおっさんが、「死んでしまえ! 死んだ方の勝ちじゃあ!」と試合中しきりに叫ぶ。

 後半、試合の流れが変わった。関学タッチダウンを奪い0-34とするが、京大の動きがよくなってくる。全くかみ合わなかった攻撃が通るようになってきた。一方関学は、立命戦でも出ていたちょっとした反則などが多くなってくる。そして第4Q、ついに京大がタッチダウン。その直後の、リスタートの京大のキックを関学がはじき、京大がそれを抑え攻撃権をゲット。その後もう一つ京大がタッチダウンを奪う。しかし遅すぎた。

 関学スタンドのカウントダウン、それが0になった瞬間、スコア13-34でゲームオーバー。関学が全勝で優勝を決めた。日本一決定戦、甲子園ボウルに向けて沸く一塁側スタンド。一方最後の試合を終えたギャングスターズにも惜しみない拍手が贈られる。最後の最後に意地を見せたギャングスターズの復権が、はたして、来年見られるのか。