氷上の格闘技

アイスホッケー日本リーグ 日光アイスバックス札幌ポラリスびわこアリーナ)

なんと観戦記(というか観戦)から2ヶ月以上遠ざかっていた。おかげでなかなかキーボードを叩く指も重い。

 そんな今年初の観戦は、初めてのアイスホッケー。ちょうどソルトレークでオリンピックが始まったばかりだが、日本アイスホッケーはオリンピックに出場できなかった。そのかわりというわけではないが、わりと近い瀬田のびわこアリーナで日本リーグの試合が行われるということを知り、観戦することにした。

 日光アイスバックス、アイスホッケーを知らない人でも聞いたことがあるかもしれない。伝統チームであった古河電工アイスホッケー部が廃部。その後ファンの署名運動や募金活動などの努力が実り、行政の支援を得て2001年に復活。企業の支援を受けないクラブチームという新しい形で話題になった。

 会場のびわこアリーナへは瀬田駅から臨時バスも出ていた。中は、体育館のような印象を受ける。入って縦方向にリンク、両側にスタンドがある。ほぼ1500人ぐらい入れそうだ。すでに7割ぐらいは埋まっていた。会場内には応援幕もたくさん出ており、左手(バックスタンド側にあたる)の一番奥にはオレンジ色のアイスバックスの応援団がいるのが見える。よく見ると少ないながらも、ポラリスの応援団も左手中ほどの最前列に陣取っていた。

 最初は左手手前に席を取ったが、応援の様子も見てみたかったので右手奥上に移動。といってもそれほど大きいスタンドではないし(アイスホッケーのリンクは縦56〜61m×横26〜30mだそうだが、もっと小さく感じた)、スタンドの傾斜もあるのでリンクの全体は見渡せる。

 フェイスオフで試合が始まる。フェイスオフとは、バスケットボールのジャンプボールのようなもので、パック(アイスホッケーの「ボール」)を地面に審判が投げるようにして、1対1でスティックではじくのである。基本的に何か反則があるとこのフェイスオフから開始されるようだ。

 会場内はアイスバックスファンの方が多いようである。オレンジと黒のメガホンやウエアを着た人が多く見受けられる。どちらの地元ともいえない関西だけに、いわゆる人気の差であろう。アイスバックスのユニホームには、日光だけに「日光猿軍団」の文字が大きく目立っている。全員に書いてあるのでまるで日光猿軍団のアイスホッケーチームであるかのようだ。

 試合は1ピリオド(P)あたり20分で3P行われる。ファールがあったときなどは時計が止まるので、実際の試合時間はもっと長くなるけど。第1P、ポラリスが攻勢。しかし日光のゴールキーパー、春名が好守を連発。そして日光が先制。応援団から「アイースバックス!(ダン!ダン!ダダダン!)」コールが起こる。それにしても、スピードと迫力には圧倒させられる。人がフェンスにぶつかる音、パックを打つ音、生々しい音が聞こえてくる。このピリオドは2-1で日光リードで終わる。

 ピリオド間には15分の休憩。整氷車が出てくる。試合前と各ピリオド間、きれいにまっすぐ整備する。最初はちょっと見とれてしまった。

 会場内は、風はないとはいえ氷を張るぐらいなので、じっと試合を見てると結構冷える。慣れた人は毛布を持参して足にかけているようである。休みの間は暖房の効いたロビーで体を動かして温める。みんな同じなのか、割合ロビーは混んでいる。スカイAで生中継してるということで、テレビが置いてあった。

 第2Pはコートチェンジをして開始。第1Pと似たような展開だった。日光の41番、榛澤淳がキーパーとの一対一から決めたゴールを目の前で見ることが出来た。いつの間にかまわりにつられてアイスバックスを応援している自分がいる。4-2で日光がリードして第2P終了。

 それにしても選手交代がめまぐるしい。アイスホッケーは選手交代が自由なのだが、交代するときは大体キーパーを除くチーム(5人)まるごと交代するようだ。しかも、その頻度が試合時間にして1分おきぐらいである。試合が止まってなくても機を見てどんどんいれかわっている。

 試合の中で妙に気になったのが、審判であった。審判は3人、選手と違って防具をつけていないので、すごくスマートに見える。そして、反則が起こってフェイスオフになったときなど、パックを素早く拾って誰よりも早くその場所へ移動。そのスピードが速くてしかもきれいに止まる。なんだか妙にカッコイイのである。

 選手同士の激突は凄い。パックと関係ないところでもつかみ合い、フェンスに押し付けてくぎ付けである。時々カッとしてスティックを突き出したりしてるところなど、見ているほうもドキドキさせられる。

 第3P。札幌ポラリスは焦りがあるのか、試合を通して反則が多い。アイスホッケーの場合、反則で時間限定退場を命じられることがある。退場になると、透明の箱のような部屋に入れられ、2分間出て来れない。大男がぽつんと時間を待っているのはちょっと笑いを誘う。退場している間は、チームは1人少ないことになる。しかし、アイスバックスはその一人少ないポラリスをなかなか攻め切れない。そうしているうちに1点とられて4-3となる。

 しかし粘りに粘ったアイスバックスがそのまま逃げ切って勝利。家に帰るまで知らなかったが、ここまで7連敗中で久しぶりの勝利だったそうだ。珍しいものを見れたらしい。そして、僕がアイスホッケーとアイスバックスにはまったのも言うまでもない。