突然乱れたり立ち直ったり 関西学生野球 京都大−関西学院大(西京極)

 二年前の秋から関西学生野球を見るようになったのだが、まだ京大の勝利を見たことが無い。火曜日のこのカードで京大が先勝し、勝ち点に王手をかけたこの日の試合に、初観戦勝利を期待してみた。

 自転車で息を切らして西京極に着くと、ちょうど試合開始の整列だった。両チームともユニフォームが似ている。下は京大が白地に縦縞、関学がグレーと違うが、上は共にダークブルーに白背番号と遠目に同じように見える。昨日までの雨でグラウンド湿っており、所々に砂を撒いたのか色の違うところがある。



 関学の先発投手は2回生左腕・水野。1回表、四球を出すも後は難なくチェンジ。対する京大の投手も左腕の河村、昨年秋に近大を完封したことで注目を浴びた投手である。いきなりの連続四球から送りバントは湿った土に勢いをなくし成功。ワンアウト二・三塁。ここで関学スクイズを試みるも打者が見送ってしまい、飛び出したランナーがタッチアウト。結局無得点に終わり、京大側としてはピンチを切り抜ける。

 2回、3回と京大はランナーを二塁に進めるもタイムリーが出ず。対する関学、2回はバントで揺さぶる作戦に出るが成功せず。3回には3番柿見のタイムリーで1点先制。

 平日ということでスタンドは閑散としている。応援団も関学は5人、京大側は来ていない。おそらく応援団かそのOBと思われる見覚えのある男性が一人、ベンチ上あたりで声を出している。応援団とチーム、連盟関係者を除けば観客は十数人といったところだ。

 4回表、京大は4番川上がライト前へ。続く相原も右へ運んで6番キャプテン日高が送りバント。これをピッチャーが足を滑らせてとれずに無死満塁の大チャンス。スクイズ失敗から三振の後、8番に入っている河村がカウント1−3からスクイズを決めて同点にする。その裏調子に乗ったのか河村は連続三振を含む三者凡退に抑える。

 流れに乗りたい京大は5回表、ワンアウトから篠原がセンター前、2回生の伊藤も内野安打で一・二塁とチャンスを広げるが、後が続かずに無得点。その裏はファースト田村のファインプレーもあり三者凡退。6回表もあっさり終わる。

 膠着した雰囲気の6回裏、河村が先頭打者を三振に取るが、ここから突然試合が動き出す。5番や側がセンター前、投手が投げる前に走り出し完璧に盗塁成功。ワイルドピッチと四球でで一死一・三塁。ここで打球はサードゴロ、ゲッツーコースかと思ったら三塁ランナーがホームでらくらくタッチアウト。二死一・二塁と一山越えた。

 ここで打席にはしのいできた投手の水野に代えて、代打・橋本淳司が出てくる。河村追い込むも、ライトオーバーの三塁打で2点勝ち越し。小坂もレフト線をやぶるタイムリー、この後エラーもからんでもう1点追加され、試合は1−5となる。

 この回の始まる前に一塁側のブルペンでは、関学のエースでドラフト上位候補にも上がっている山之内が肩を作り始めていた。僕は登板を期待したのだが、この4点が入ったところでコーチからの指示で投球練習を止めてしまった。

 関学の投手は7回から左のサイドハンドの武石。連携ミスのエラーもからみ京大はまたも一死一・二塁のチャンスを作る。が、今度はセカンドのファインプレーが飛び出し、抜けそうなあたりがダブルプレー。またもチャンスを逸する。このファインプレーの際にセカンドがどこかを負傷したのか立ち上がれず、次の回から交代していた。7回裏は三者凡退。

 8回表、京大先頭の相原がレフト線ツーベースヒット。次の打者のショートゴロの送球がそれ、タッチのボールがこぼれて1点返して3点差。デッドボールとピッチャーのエラーで無死満塁とまた絶好のチャンスを作る。関学の投手は折田に交代、山之内も慌ててブルペンで作り始める。京大は代打に谷口を送る。折田は体をひねって手を隠すようなフォーム。谷口のあたりはゲッツーとなり、その間に1点返しただけ。結局この回は2点どまりでスコアは3−5。

 その裏河村は関学三者凡退にとる。河村の投げる試合は何度か見てるけど、突然崩れたかと思うとすぐ立ち直ることが多い気がする。今日も大量点を取られた6回の前後、4・5・7・8回は三者凡退なのである。なんとも謎の多いピッチャーだ。

 さて9回表、この試合負けられない関学はついにエース山之内登場。ここまでこの試合で見てきた投手とは明らかにスピードが違う。足首だけをまわす二段っぽい感じのフォーム。ただ、途中で三塁塁審に注意されたようで、セットポジションで投げ出した。結局三者凡退に抑え関学が逃げ切り。対戦成績をタイに持ち込んだ。

 なかなか京大の勝利を目で見ることが出来ないものである。春季で京大の試合を見るのは、おそらく24日の近大戦だけか。河村には去年同様の快投を、途中抜けることなく期待したい。そして打線には、あと一本を。