待ちに待った瞬間  関西学生アメリカンフットボール 京都大学ギャングスターズ−関西学院大学ファイターズ(神戸ウイングスタジアム)

実に、2年ぶりとなるアメフト観戦は、恒例となった伝統の京関戦関京戦)である。これまで京関戦は2回観戦しているのだが、ここ最近の両チームの対戦成績はというと、

2000年 関西学院大 45-14 京都大
2001年 関西学院大 34-13 京都大
2002年 関西学院大 14-6 京都大

と、関学の連勝中である。最後に京大が勝ったのは98年だが、その頃はまだ僕はアメフトに興味を持っていない。つまり、僕はまだこの対決での勝ちを体験したことがないのだ。それにしても、ここ3年のうちにリーグの様相は変わった。2000年は京大が立命を逆転で破っていたため、優勝決定となる全勝対決だったが、地力で勝る関学が京大のミスにもつけこみ、圧勝し、結局全勝優勝を飾った。2001年は、1敗の京大が勝てば立命を含めたプレーオフに持ち込めるという最終戦だったが、関学が前半から怒涛の攻めを見せ、後半京大が意地を見せるも届かなかった。この年、関学ライスボウルでも勝利し、日本一となった。2002年は立命がものすごい強さを見せ、伏兵・近大にも足をすくわれた関学・京大はともに涙をのんだ。そして今年も、リーグの中心は立命館大学パンサーズである。この試合の前日の試合で無敗で優勝を決定している。関学は関大にまさかの負けを喫し、京大は立命に力負けした。1敗同士の対戦となるが、この試合で勝ったチームは、最終戦の勝敗次第(つまり関学立命に勝ったらということだが)では立命プレーオフに持ち込むことができる。そういう意味で、生き残りの試合である。

決戦の会場となるのは神戸ウイングスタジアム。ワールドカップの際に建設された新しいスタジアムだ。長年アメフトの会場として使われてきた西宮スタジアムが昨年で閉鎖となり、今年からは王子、長居、西京極とこのウイングなどが会場として使われている。関学とは目と鼻の先で、ホームグラウンドであった西宮の閉鎖は、元気のない今年の関学に何かしらの影響を与えているかもしれない。スタジアムの構造もあるだろうが、中に入って感じた印象としては、観客は減っている気がした(もっとも、京都からだとさらに遠くなってしまったわけだが…)

今日は朝からいい天気で、非常に暖かい日だった。念のためウインドブレーカーやアームウォーマーなど持っていったものの使わずじまい。ウイングスタジアムは観客席部分全体に屋根がついているので、万が一雨が降っても濡れずに観戦できるようになっている。そしてなにより、スタンドからグラウンド全体が非常に見やすい。死角もないし、前の席との感覚もまずまずで前の人の頭で見えないなんてこともない。ただ、屋根のおかげで、写真で分かるように半分だけ太陽光が当たるような形になってしまっているのがちょっと変だな、と思ったぐらい。で、今日は精一杯応援したかったので(一人だったし)応援団のすぐ横あたりの席についた。ここだと自分の声が聞こえすぎて恥ずかしくなることもないし、応援のリードもしっかり聞こえるので試合に集中しやすい。団長が体育会の後輩ということもあって、なんとなく親近感もある。

関学のリターンから試合開始。前にリターンタッチダウンを奪われた試合を見てるだけに(2000年)、なんとなく緊張する。しかし、前述のとおり関学は今年調子が今ひとつである。その理由の一つに、主力選手であったLB平郡雷太の急逝(8月16日)があった(ご冥福をお祈りします)。練習の停止、練習再開後も監督・コーチが喪に服したため、指導者無しの状態が続いた。そしてこの日、関学側のスタンドには「5平郡雷太」の応援幕が張ってあった。

第1Qは京大のペース。京大の守備に阻まれ、関学が前に進めないのと対照的に、京大は小刻みに前進し相手陣地に迫る。タッチダウンこそ奪えなかったものの、フィールドゴールを決めて3点先制。第2Qも同様の展開。しかし京大は後一歩が届かず、しかもフィールドゴールも失敗し、3−0というわずかなリードのまま前半を終了する。

第3Q、嫌なムードは的中、関学の攻撃が決まり始める。パス、中央突破、次々と決まり、前半の苦戦が嘘のように攻めてタッチダウン。ゴールも決めて3-7と逆転。また負けてしまうのか…と一瞬頭をよぎる。第3Qぐらいか興奮が高まり、かつ逆光で直接目に光が当たるのも関係して、自然と目から涙が出そうになる。

そして、運命の第4Q。じわりじわりと攻める京大、守る関学。最後はギリギリで押し込んで京大今日始めてのタッチダウンで逆転。しかしゴールに失敗し9-7。フィールドゴールでも逆転される点差だ。しかしこの日は第3Q以外京大ペースだった。同じようにじわじわと攻め込み、ゴール直前で4thダウンギャンブルもねじ込み、追加点となるタッチダウン。今度はゴールも決めて16-7。残り時間は一分程度。そこから関学の意地の反撃が始まる。パス・ランともに成功し、京大陣内へ。しかし、最後は関学のパスがインターセプトとなり、京大が時間を消費して試合終了。見事、5年ぶりの関学への勝利となった。

最後、20秒ぐらいのカウントダウンは身震いがした。別に部のOBでもない自分がなぜこんなに夢中になるのかわからないが、これが伝統の一戦というものなのだろうか。今まで負けつづけた分を一気に返すべく声を上げて応援した。試合終了後、学歌を歌う時は不思議と涙が止まらなかったので、目を閉じていた。この一勝が、ギャングスターズ復活の始まりになりますように。