その2:幻のホームランボール

プロ野球 ロッテマリーンズオリックスブルーウェーブ戦(グリーンスタジアム神戸
  2000年のプロ野球シーズンもあと残りわずか、今年の締めにもう1試合見ておこうということで、大学のサークルの友人と作っているパリーグ同好会(略称パ同、といっても連れ立って野球を見に行くだけの集団だが)でGS神戸に行く、はずだったのだが…。
 朝起きると外は雨。試合開始は13時で10時集合ということだったのだが、9時の段階で中止と判断した。どうしてもドーム球場でないと雨天中止ということがあってむずかしい。

 急に予定がなくなってやることもないので寝ていると、電話の音で起こされた。電話の主はパ同の中心的人物のでもあるのりを氏で、「雨止んで試合ありそうなんだけど」。なるほど外は晴れてはいないものの雨は降っていない。どうやらグリーンスタジアムも開場しているようだ。この時点ですでに12時を回っている。しかし、もし試合が行われたら手元の前売券8枚は紙くずになってしまう。そこで、途中からでもいいので見に行きたい人だけでも集って行こうということになった。

 結果、当初の9人の内7人が行くとのこと、至急駅に集合ということにする。全員がそろったのは試合開始時間となる13時ごろ。ついた時に席が開放されてたらどうしようという不安のもと出発(7回になると外野席は開放される)。

 焦っても電車は速く進まない。阪急三ノ宮駅についたのが14時半ぐらい。地下鉄に乗り換えてスタジアムについたのはほぼ15時だった。試合は5回裏、6−3でオリックスリード。今回のパ同メンバーにはロッテファンもいたので、ロッテ側外野席で観戦。センター左側あたりに陣取る。

 レフトポール側に陣取るロッテの応援団はすごい。観客の数もオリックス側と同じぐらいいるかと思うが、それが一箇所に固まってそのほとんどがレプリカユニフォーム(ビジター用黒)を着用している。応援方法も独特で、サッカー応援の手法を取り入れたような応援である。ロッテ側の攻撃時はオールスタンディングで叫び、踊り狂う。消化試合とは思えない熱気だ。あれだけ熱い応援をしてもらえるのだから、ロッテはもっとがんばるべきだろう。

 応援に圧倒されていたら、6回表、突然ロッテ堀幸一のホームランがわれわれと応援団の間ぐらいに飛び込む。応援団は大盛り上がり。8回にも今度はライトにボーリックのホームランが飛び込み6−5。試合に遅れてきたわれらパ同のメンバーは、競って延長にならないかと期待している。唯一オリックスファンである私だけが、タイトルの可能性のある戎信行の防御率を心配していた。

 しかし8回裏、オリックス日高剛塩崎真の連続タイムリーで2点追加し8−5、さらに2死2塁から打席に入ったオリンピックから帰ってきたばかりの田口壮が大きな当たりを打つ。打球はのびて、こちらにやってくるやってくる…ホームランだ!!座っていた席の前5メートルぐらいのところで打球が跳ね返り、グラウンドに戻った。ホームランボールをもらおうと、センターの諸積兼司が投げ返してくれるのを待ちに下に降りかけたその時、諸積はそのボールを内野に転送した。なぜだ! 堀のホームランのときは谷佳知がスタンドに投げ入れたのに。というわけで、ホームランボールの獲得に失敗する。

 9回表にはボーリックの2打席連続3ランも飛び出し、結局戎は8失点完投勝利。投球回数は稼いだものの防御率が大幅に下がってしまった。ああそれよりもあのボールが惜しい! 観客の少ない時期だからこそとれたホームランボール、あんなチャンスは滅多にこないだろう。あまりに悔しいのでその日のプロ野球ニュース(オリンピックのために午前2時まで待った)で、一瞬自分らが映っているのを確認してしまった。