その4:鈴鹿に冷たい風が吹く

F-1 第16戦 日本GP(鈴鹿サーキットとうとうやってきたF1日本GP。年に一度のイベントである。去年に続いて2度目の観戦というとで、去年ほどのドキドキ感はないが、やはりいいものだ。

 予選を見るために土曜の朝に京都を出発。昼12時ごろにサーキット到着。予選開始まで1時間あるので、ダンロップコーナーの近くで昼食をとって待つ。今年は昨年のように最終戦ではないが、前戦まででポイントリーダーのシューマッハハッキネンとの差が8ポイント、この鈴鹿の結果次第ではシューマッハのチャンピオンが決まるということで、注目の一戦である。観客席も心なしか去年以上にフェラーリの赤いフラッグや帽子が目立つ気がする。(去年はシューマッハが怪我のため数戦欠場し、チャンピオン争いに加わっていなかった)

 予選開始。1時間中のタイムアタックだが、周回制限もあるし、後になるほど路面もよくなるのではじめはなかなか車が出てこない。やっと出てきたのは20分ほどたってからだった。ホームストレートに上位6人のカーナンバーが表示される。一通り走り終わったところでハッキネンがトップ。しかしその後シューマッハハッキネンがお互いタイムを更新しあい、結局1000分の9秒という僅差でシューマッハが勝ち、決勝のポールポジションを獲得した。


 さて翌日は決勝。しかし天気が曲者である。今にも雨が落ちてきそうな曇り空で、天気予報でも午後からの降水確率は70%である。スタートは1コーナーが見えるところで、ということで去年見たダンロップ上の売店のところに行った。しかし場所がないのでさらに上の丘に登ってみると、これが正解。メインストレートから第1〜2コーナー、S字、逆バンク、ダンロップと、コースの1/3以上が見える穴場だった。幸い2人なんとか入れるスペースがあったのでそこに陣取る。前にいる7、8人の集団は、昨日からキャンプをしていたようで七輪でなにやら燃やしていた。

 スタートまで1時間以上。じっと待つ。時折雨粒が落ちてきては止む。はっきりしない天気である。

 そしてようやくフォーメーションラップを一周。だが、スピーカーから入ってくる実況が叫んでいる「ハッキネンのエンジンから白煙があがってます」周りからざわめきが起こる。僕自身もひやりとする(言い忘れたが、僕はマクラーレンファンだ)。しかしレースはそのままスタートする。スタンドのフラッシュの嵐の中、注目の1コーナー、ハッキネンがトップで飛び込みシューマッハを抑えた。

 その後もハッキネンシューマッハを抑えてトップを守る。シューマッハに抜かれそうな気配はないが、かといって大きく差を広げるだけのスピードがあるわけでもない。そんな状態は1度目のタイヤ交換を終えた後も続いた。僕の隣で見ていた外国人はハッキネンのファンらしく、ミカの車がくるごとに小さなフィンランド国旗を振っていた。

 2度目のピットストップ。先に入ったのはハッキネンシューマッハが一時的にトップに立つ。そしてシューマッハもピットイン。どのタイミングでハッキネンがやってくるか、ストレートの方に注目する。そして待つ、待つ、待つがハッキネンはこない。ようやくシルバーのマクラーレンが現れたのはシューマッハが1コーナーに入るころだった。ピットインによるシューマッハの逆転。

 スタンドは大いに沸く。フェラーリの赤い跳ね馬フラッグがそこらじゅうで振られている。大きな歓声とそれに混じるため息、そして赤いマシンが前を通るときはホーンの大きな音が鳴る。残りは1/3だ。

 しかしまだわからない。見たところハッキネンはセットアップがうまくいかなかったのか、2度目のタイヤ交換以降タイムがあがらない。こうなったら天任せである。そう、まだ雨が降る可能性がある。雨が降ればタイヤを交換するなり、滑りやすい路面を我慢するなりしてレースは荒れるかもしれない。

 だが結局天気はレース終了まで持ち、そのままシューマッハがトップでゴール、チャンピオン獲得となった。モニターで表彰式を見たが、シューマッハは表彰台から転んで落ちそうになっていた。そんなチャンピオンを祝福するライバルのハッキネンクルサード、いい絵である。


 さて、レースはこれで終わりだが、問題は帰宅だ。近鉄白子駅までの臨時バスに乗ったのはいいが、道がまったく進まない。バスに乗って1時間たってもまだ鈴鹿遊園地の外縁の道路だったので、いいかげんうんざりして降りて歩き出した。後で知ったことだが、今年は鈴鹿の日本GP歴代2位となる大観衆だったそうで、そりゃ道も混むわけである。歩く途中でJR鈴鹿サーキット稲生駅が見えたが、駅から何百メートルも太い列ができている。いやはや。

 白子駅までの道のりは6km、強風が吹いておりかなり長く感じた。大雨にならなかったのが幸いである。日本GPの交通の問題は、毎年のことではあるがなかなか解決されない。できれば渋滞に影響されないバイクや自転車で見に行きたいものである。