スポーツとしての車いす

第12回全国車いす駅伝(京都国際会館西京極陸上競技場
 この車いす駅伝、毎年行われているものだが、見たのははじめてである。去年は大学の構内で選手が準備しているところに偶然出くわしたのだが、理由は忘れたがレース自体は見ていない。それゆえ、今回は見てみたかった。

 障害者のスポーツというとパラリンピックが思い出されるが、シドニーのときにちょっと思ったことがあった。一口に障害者といってもその障害には程度があり、クラス分けが行われている。ただでさえ健常者よりもスポーツ人口が少ないのに、それがさらに細分化してしまうことから、競争として成り立たないのではないか。障害者がスポーツを行うのはいいが、パラリンピック級の国際的な試合はかえって参加に費用がかかり、それほど豊かではない国などでは参加が出来ないだろう。

 まあそういうことは今回は関係ない。障害者スポーツであること以外に、この車いす駅伝には別の観点から興味があったのである。それは、僕が自転車レースをやってることに起因する。自転車で走るのと車いすで走るのは、大雑把に言えば脚の力で進むか腕の力で進むかの違いではないか。そして両者の間には、共通点が多いのではないか。

 結論から言えば、「かなり近い気がした」。まず見た目の問題。レース用の車いすがどういったものかご存知だろうか? 普通の車いすより座る位置はやや低めで、脚を折りたたんでシートの下に入れるような感じになる。ハの字型の車輪には普通より小さ目の、こぐためのハンドル(なんと言えばいいのだろうか。小さいのは手を一回転できるようだろう)、そして前方にもう一つ、小さめの車輪がついている。前輪との間は自転車と同じように、一本のフレームでつながっていて、途中にハンドルがついている。

 たまたま大学の前が中継所ということで、多くの選手を近くで見ることが出来た。ハンドルの右手のほうにはブレーキがついている。近くで見た感想としては、形が違うだけで、おそらく自転車と同じようにアルミなどのチューブを組み合わせ溶接してフレームを組んでいるのだろう。後輪も自転車と同じようなエアロホイールなどを使っている。自転車に比べ生産量も少ないだろうことを考えると、おそらく1台50万とかするんじゃないだろうか(あくまで予想)。メットやウエアはそのまんま同じだろう。

 と、いうわけでちょうどお昼時、中継点寸前の百万遍交差点でコーナリングを見ようと待っていた。警察が交通規制をやっているのだが、実はこの日、大学の入学試験ということで大量の受験生がやってくる。不動産屋のビラ配りも大量にいて歩道はちょっと混乱気味だった。たまたま会ったパ同*1のがくのすけ氏とともに選手を待った。

 先導車に続いて先頭の選手がやってくる。車椅子は腕で漕ぐとはいえ、レースとなるとそれなりのスピードになる。おそらく時速20キロ台ぐらいだろう。コーナーでは体重移動で曲がる。姿勢を低くして風の抵抗を小さくしようとしているのも自転車と同じだ。見ても分からないが作戦などにも共通するところがあるのだろう。ちょうどラストスパートの地点なのだが、後ろの方の選手になるほど応援したくなって、おもわず「ラスト、がんばれ!」などと声が出る。おそらくいつも自分がバテて後ろを走っててるので条件反射なのだろう(笑)

 スピードで物足りないのはしょうがないが、それ以外では自転車と何らかわることがなく(自転車では駅伝はしないが)、今後興味の持てるスポーツであった。あと、実のところ車いすレースというスポーツは、脚の障害をもっている人とそうでない人の間にハンデがない(多分)。というわけで、メジャーになっていけばいつかは健常者もやるスポーツになり、パラリンピックじゃなくてオリンピックも目指せるかも…ま、実際問題は別にした話だが。

*1:パリーグ同好会